白馬大雪渓の一部

【氷河と雪渓の違いとは?】無限の可能性を秘めた白馬村の氷河

みなさん、氷河と雪渓の違いはご存じですか?
日本雪氷学会,2014には以下のように定義されています。

陸上で重力によって常に流動している多年性の氷雪の集合体

白馬大雪渓の一部

白馬大雪渓の一部

見た目だけでは雪渓との区別が難しいですが簡単にまとめると、陸上にある雪からできた氷の塊のうち、動くものが「氷河」で、動かないものが「雪渓」です。
日本最大規模の雪渓「白馬大雪渓」は、雪渓の下がトンネル状になっており、流動が確認できないため「雪渓」に分類されます。

※本記事は、2020年10月30日に白馬村で開催された「白馬村の貴重な資源 唐松沢氷河と白馬連峰の雪渓の違いを学ぼう!」での新潟大学教授 奈良間氏の講演の内容を参考にしています。

 

日本で確認された氷河は全部で7つ

かつて日本は緯度や標高が低いため氷河が存在しないと言われてきましたが、2012年に富山県立山カルデラ砂防博物館研究チームの調査により、立山連峰の「御前沢雪渓」「三ノ窓雪渓」「小窓雪渓」が氷河であることが学術的に認められました。

その後、2018年に立山連峰の「内蔵助雪渓」「池ノ谷雪渓」、同じく2018年に鹿島槍ヶ岳の「カクネ里雪渓」、2019年に唐松岳の「唐松沢雪渓」が氷河と認定。

唐松沢氷河調査団の調査では、唐松沢雪渓の氷体は1年間で約2mほど動いていたことが確認されました。

※唐松沢氷河調査団=新潟大学、白馬村、立山カルデラ砂防博物館、白馬山案内人、山とスキーの総合資料館等による調査団

 

2020年から「不帰沢」「杓子沢」「白馬沢」を調査中

白馬の雪渓と氷河

白馬の雪渓と氷河(白馬マウンテンハーバー)

2020年からは、新潟大学や白馬村などで作る白馬連山氷河調査団が、唐松岳から白馬岳の斜面にある「不帰沢」「杓子沢」「白馬沢」の調査を開始。

杓子沢は氷厚が26~28m・平均傾斜角が26度と、他の氷河と同じような条件が揃っているので、流動さえ確認できれば氷河認定となる可能性が高いそうです。

奈良間氏によると、杓子沢は猿倉からアクセスが可能なため、日本初の登山口から歩いて行ける氷河になる可能性があるとか。(実際には頻繁に崩落が起きる危険個所なため、現実的ではないそうです…)

なぜ日本に氷河が存在するのか?

海外の氷河と比較すると日本の氷河は、「小規模・標高が低い場所にある・中緯度」という特徴が挙げられます。

ではなぜ日本に氷河が存在するのか?
それは後立山連峰や立山連峰などのエリアが世界屈指の豪雪地帯であることや、雪崩により多くの雪を蓄えられる場所があることが関係しています。

 

無限の可能性を秘める白馬村の氷河

4つの氷河を一望できる可能性を秘めた白馬岩岳

4つの氷河を一望できる可能性を秘めた白馬岩岳

鹿島槍ヶ岳のカクネ里氷河は五竜岳登山道の遠見尾根から、唐松沢氷河は白馬岩岳の山頂や八方池から見ることができます。
現在調査中の不帰沢・杓子沢・白馬沢が氷河認定されれば、白馬岩岳は4つの氷河を一望できる場所になります。

そして杓子沢は白馬駅からも見ることができます。

奈良間氏は「白馬村の氷河は、観光資源・山岳環境教育に利用でき、日本の山岳ツーリズムのモデルケースになりえる可能性を秘めている」と話します。

まだまだ解明されていないことが多い氷河ですが「氷河が見える街」としての期待感が高まります!

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