長野県白馬村・小谷村・大町市にある10のスキー場で構成されるHAKUBA VALLEYには、上質なパウダースノーを求めて、日本のみならず海外からも多くの観光客が訪れます。
2018-19ウィンターシーズンの訪日外国人スキー来場者数が37万を突破。人口1万人に満たない白馬村は、冬になると外国人観光客で溢れかえります。
今回はそんな外国人観光客を対象に、気になるあれこれをインタビューしてきました。
いまからショッピング!
八方の湯の近くを歩いていた、これからハピア(スーパー)に行くという、オーストラリアから来た7人家族。
ーーなぜ白馬村に来たの?
「スノーボードがしたかったんだけど、WEBサイトでのレビューが良かったし、友人もオススメしてたから白馬にしたんだよ。あとEpic Passを持ってるから、全部のスキー場を滑りまくれるのもいいね」
ーー白馬村のスキー場はどうだった?
「2日後に帰る予定だけど、まだ1回しか滑ってないの。昨日Hakuba47行ったけど良かったよ!」
ーー今日は雨だけどどうするの?
「今日は滑らない。特に予定はないから、白馬の街中をブラブラしようと思って。ハピアでショッピングするつもり!」
と言いながら、八方の湯の足湯に入りに行った、仲良しファミリーでした。
温泉大好き!
八方の湯が営業開始するのを待っていたオーストラリアから来た男女グループ。
ーーなぜ白馬村に来たの?
「雪が良いから、スノーボードを楽しむために来たよ!数年前に1度来たことがあるんだけど、すごくよかった!!今年は雪が少なくて残念…。でも昨日は最高だった!今日も栂池に行こうと思ってたんだけど雨だからやめて、八方の湯に行くことにしたよ」
ーー私たちはさっきまで栂池にいたけど、雨でコンディションが良くなかったよ
「やっぱり行かなくてよかった(笑)」
ーー何日間滞在する予定?
「全部で10日間。今日は6日目だよ」
ーー白馬村で美味しいと思った料理は?
「ラーメンが最高だった!!あと、目の前のローソンで買ったカラアゲも美味しかった!」
ーースキー・スノーボード以外で楽しみにしていることは?
「温泉だよ!滞在中に何度も入ったけど、今日も来ちゃった!最高の日本文化だね!」
コンビニのカラアゲや雨の日の温泉など、ローカルな楽しみ方を知っている外国人観光客も増えているようです。嬉しいですね!
奥さんから逃れるために…
JR白馬駅でホテルの送迎車を待っているという、オーストラリアのメルボルンからから来た男性2人組。
ーーなぜ白馬村に来たの?
「東京観光のついでに来たんだけど、奥さんから逃れるために男二人旅をしてるのさ!…というのは冗談で、素晴らしいスノーリゾートって聞いてたから来てみたかったんだよ!」
ーー今回の一番の目的は?
「もちろんスノーボードさ!!」
ーー白馬村で美味しかった料理は?
「寿司やラーメンが美味しかったよ!あとカラアゲも!!」
やっぱりカラアゲは大人気!
“みそおにぎり”がお気に入りのカップル
食事中のオーストラリア人カップル。
ーーなぜ白馬村に来たの?
女性「2年前に白馬のスキー場で働いていて、雪がすごく良かったから今回は彼も連れてきたの」
ーー何日間滞在する予定?
女性「6週間だよ。HAKUBA VALLEYのシーズン券を持ってるから全部のスキー場を滑りまくるつもり!」
6週間!?長い…
ーー今年は雪が少ないけど楽しめてる?
女性「たしかに2年前と比べると少ないわね…。でも近い距離にスキー場がたくさんあるから、午前と午後で違うところを滑れるのがいいわ!さっきまで栂池にいて、ランチ食べたら八方に行く予定だよ」
ーー白馬村で美味しかった料理は?
男性「(さっきコンビニで買った)みそおにぎり!初めて食べたけどめちゃくちゃ美味しいね!スノーボードは身体を使うからエネルギーチャージにピッタリだよ!」
海外と比べて日本のコンビニはクオリティが高いものが多く、あえてコンビニご飯を選んでいるとのこと。日本の素晴らしい文化の一つとして認知されているようでした!
日本人の優しさに感動!
白馬村内を散策中オーストラリア人カップル。
ーーなぜ白馬村に来たの?
「スノーボードをしに来たよ!」
ーー何日間滞在する予定
「6日目で今日が最後の日。朝起きて『Oh…雨だ…』ということで滑りに行くのはやめて、ブラブラ散策してるの」
ーー今年は雪が少ないけど楽しめた?
「楽しめたよ。雪が少ないのは仕方ないし、天気は誰のせいでもないから」
ーー白馬村で美味しかった料理は?
「駅前で食べたカツカレーが美味しかった!あとはラーメンとカラアゲも良かったよ!」
ーーお土産は買った?
「もちろん。木工細工の置物を買ったよ!とても繊細で素晴らしい!」
ーー2人から見た白馬村の魅力を教えて
「カナダやオーストラリアのスキー場でも働いたことがあるけど、そういうところと比べても雪質が良かったし、何より地元の人が優しい!」
ーー英語が通じなくて困らなかった?
「それほど不便と思ったことはなかったよ。英語が通じなくても何とかコミュニケーションを取ろうとしてくれたし、いろいろ助けてくれた。これも日本のトラディショナルな体験だと思うしね。実はバスや電車を乗り継いで松本城や志賀のスノーモンキーを観に行ったんだ。大変な一日になると思ったけど、たくさんの人に助けてもらって、トラブルなく楽しめたよ!」
日本人の「おもてなしの心」がしっかり届いたようですね!
オーストラリア人オーナーにも聞いてみた
オーストラリアのブリスベン出身のシェイさん。2018年12月にJR白馬駅前にオープンしたカフェ「Zou」のオーナーです。彼は観光客ではありませんが、ウインターシーズンを日本で過ごすシェイさんにも色々質問してみました。
ーーなぜ白馬村でカフェをオープンしたの?
「雪が良いからだよ!それから白馬村の人々はブリスベンなどの都市部の人々などとは違って、時間や仕事に追われていなくて、スキーやスポーツなどやりたいことを実現できているのが良いところだと思えた」
ーーニセコもスノーリゾートとして世界的に人気があるけど?
「ニセコは1山に4つのスノーリゾートしかないけど、白馬には10のスノーリゾートがあるから規模感が全然違うんだ。あとニセコの周りは遊ぶところが少ないかな。2時間で札幌に行けるけど、白馬は3時間で東京まで行けるのは魅力だよ」
ーーウィンタースポーツ以外は何をして遊んでるの?
「色々なところに旅しているよ。白馬から1~2時間程度で行ける長野県内の観光スポットとか、最近は群馬県の万座温泉にも行ったよ。行ったことが無い新しい場所に行くのが好きなんだ」
ーー白馬村で美味しかった料理は?
「トンカツとかラーメンが好きだけど日本のものは何でも美味しいよ!イタリアンレストランのパスタもクオリティが高いよね!」
ーーここ数年、オーストラリア人観光客数が急増しているけど、白馬人気はなぜだと思う?
「まず物価がとても安いからだね!オーストラリアのスキー場で1週間過ごす費用で、白馬では2週間ぐらい過ごせるんだ。リフト券は1日11,000円ぐらいだから、白馬の約2倍だね。国内のフライト代もすごく高い」
リフト券が2倍の値段とは驚きですね…!
「食費なんかも安いね。特にアルコール類はオーストラリアの半値ぐらいで買えるし。フルーツやステーキなどの肉はさすがにオーストラリアのほうが安いけど、ワンコインで美味しいランチが食べられる日本は本当に素晴らしいよ!」
日本のファミリーレストランや大衆食堂のクオリティを気に入っているようで、白馬村にあるガストや駅前のローカルな食堂にもよく行くそうです。
ーー白馬村の雪質も人気の理由?
「もちろん!雪質が抜群に良いのも人気の理由だね。今年の白馬は雪不足って言われているけど、現時点でオーストラリアのベストコンディションよりも上かもね」
冬になると当たり前のように降り積もる白馬村の雪は、私たちが考えている以上に価値が高いもののようです。
ーー良いところばかりに見える白馬村だけど、改善が必要な点は?
「スキーリゾートとしてもっとフレキシブルになってほしいかな。外国人がたくさん来るのに、スキー場の設備や考え方がほとんどアップデートされてない気がする。八方尾根はあれだけ大きなスキー場なんだからスノーパークを充実してほしいし、リフトが古すぎるから新しくしたほうがいいと思う」
白馬村に限らず、日本各地のスキー場のリフトは設置されて30年以上経つものが多く、老朽化の問題がたびたび話題になっています。
「あと、僕の友人が白馬の近くの廃業したスキー場を買おうとしたんだ。ところが契約完了直前で”外国人だから”という理由で破談になっちゃって。僕ら白馬にいるオーストラリア人にとっては、残念なニュースになったよ」
さいごに
今回はたくさんの外国人観光客に話を聞くことができました。みなさんが口をそろえて言っていたのは、“白馬の雪質の良さ”が母国でも話題になっていること。
食事やショッピングを楽しんだり、白馬の滞在そのものを楽しんでいる人が多かったのも印象的でした。
こうした楽しみ方ができるのも白馬村の魅力の1つかもしれません。
そんな白馬村の魅力を再確認できた一方で、設備の老朽化など、今後の課題も浮き彫りに。日本のスタンダードは世界のスタンダードではないということがわかりました。
今回のインタビューではアジア系の観光客にも話を聞きたかったのですが「恥ずかしいからダメ」と断られてしまいました。この辺りは日本の国民性と近いものがあるのでしょうか?