白馬岳は北アルプス後立山連峰の中心的な存在。日本の登山ブームの先駆けとして、100年以上も前から愛されてきました。
ゴツゴツした岩肌に夏でも残る雪は日本最大規模の雪渓として、針ノ木雪渓や剱沢雪渓とともに「日本三大雪渓」に数えられています。
標高は2,932m。3,000mに迫る標高があるものの、槍ヶ岳や剱岳のようなスリリングな岩稜帯がないため、高山植物を眺めながらのんびりした山歩きが楽しめるのも特徴です。
雪と花を楽しむ山「白馬岳」
白馬岳の魅力といえば夏も残る大雪渓と多種多様な高山植物。
数ある北アルプスの名峰の中でも屈指の人気を誇ります。
全長3.5kmの巨大雪渓
白馬大雪渓は猿倉から白馬岳に通じる人気登山ルートのひとつ。
ここを登る登山者の長い行列はたびたびメディアでも報じられるほど、夏の白馬の風物詩になっています。
標高1,600mから広がる大雪渓は全長3.5km・高低差600m。下から見上げるとどこまでも続いているような果てしない距離に感じます。
このエリアは、冬に日本海の湿った空気を含んだ季節風が北アルプスにぶつかることで大量の雪が降ります。大雪渓の地形がU字型の谷になっていることから雪崩による雪の堆積も多く、厚さは最大で40~50mにもなると言われています。
「花の白馬」日本一の高山植物
雪が解け始めると短い夏に合わせて高山植物が一斉に咲き誇ります。
「花の白馬」と呼ばれる白馬岳では、日本に自生する高山植物の約8割にあたる345種も見ることができ「日本一」と言われています。
ウルップソウやツクモグサなどの貴重なものから、コマクサやチングルマなどの人気の高山植物までさまざま。
太陽の紫外線が強い高い山の上で咲く高山植物は、身を守るために色素を多く生成します。そのため濃く色鮮やかな花を咲かせるのだとか。
白馬岳に高山植物が多い理由
白馬岳は地質・地形・気象などが複雑に絡み合った高山植物の生育に適した環境になのだとか。
この辺り一帯は石灰岩、蛇紋岩、玄武岩などが混在し、様々な時代の地層が折り重なるようにしてできた特殊な地質。
植物の生育に必要な成分が不足していることから森林が発達しにくくなり、厳しい環境に適応できる高山植物が多くみられるようになりました。
また、石灰岩は2.5億年~3億年とかなり古い地層で氷河期時代の植物が守られているのだとか。
様々な奇跡が重なり、雪と花を楽しむ山として白馬岳は愛され続けています。