パタゴニア日本支社では、各ストアごとに環境に対して取り組むべきテーマを設定しています。
白馬ストアが開店時から取り組んでいるテーマは、「気候危機」と「砂防」。
フィールドに近い白馬だからできること、この環境の中で感じられることや学べること、この大自然を次の世代に繋ぐために一緒に学びませんか?
パタゴニアの各直営店では、草の根環境団体の活動に賛同し支援を行っています。
今回は、白馬ストアが支援している「渓流保護ネットワーク・砂防を考える」の代表・田口康夫さんを招いたイベントで砂防ダムについて学んできました。
そもそも砂防ダムとは
まずは砂防ダムについての基礎知識から。
渓流保護ネットワークのホームページでは、下記のように紹介されています。
砂防ダムは土砂を貯めることが目的で、高さ約7m以上のものを砂防ダムといい、それ以下のものを砂防堰提といいます。その働きは、土砂を貯める事や、貯砂量の10~50%の土砂を一時的に貯え調整したり、河床勾配を緩くして河の侵食を防ぐなど、土砂の流出制御に用いられています。
土砂が市街地に流れ込むのを防ぐ目的で、川の上流部に作られたダムを指します。
登山や釣りをする方であれば、目にしたことがある方もいるかもしれません。
でも、砂防ダムは普段は見ることができないような山奥にあるので、一般的には馴染みの薄いものです。
長野県の学校などでは、麓で生活する私たちの暮らしを「土砂災害から守るもの」と教わることが多いそうです。
長野県に約6,000基の砂防ダムが建設
陸地面積の約3分の2を森林が占める日本では、昔から土砂災害に苦しめられてきました。
その被害を最小限に食い止めるために、約90,000基以上の砂防ダムが建設され、そのうち長野県には約6,000基も存在します。
砂防ダムが自然環境に与える影響
砂防ダムは、土砂災害から私たちの暮らしを守る効果がある一方で、自然環境への影響も大きいと言われています。
主な例としては、土砂の流出や川の流れを意図的に変えてしまうことで
- 海岸侵食
- 土砂災害
- 河床低下
- 骨材不足
- 魚道問題
などが挙げられます。
1つの砂防ダムは2~3回の大雨で満杯になってしまうことも。
そのたびにさらに上流に砂防ダムを建設するという悪循環が続きます。
そもそも山の崩落や侵食は、造山活動の一部なので完全に防ぐことはできません。
地中では絶えずプレートが動き、山々は隆起し続けています。
上部に持ち上げられた土砂は、重力によって下流に流出します。
仮に土砂の流出を防ごうとしたら、山全体をコンクリートで固めるという、非現実的な話になってしまうのです。
ではどうすればいいの?
莫大なお金をかけて作ってしまった砂防ダムを無くすには、やはり莫大なお金がかかります。
では、どうすればいいのでしょうか?
田口さんによると、砂防ダムの有効な機能を持たせたまま、環境への影響を減らすためには「スリット化」が理想とのこと。
砂防ダムに隙間を開ける工事を行うことです。
スリットから少しずつ土砂を流し、ダムの調節機能を高めることが環境への影響を軽減することに繋がります。
しかも新たなダムを増設し続けるよりも圧倒的に低コストで済みます。
私たちにできることは?
地域の危険度を把握しておく
各自治体には、ハザードマップがあります。
災害が起きる前にいま住んでいる地域の危険度をよく理解しておきましょう。
避難場所を確認し、災害が発生しそうなときは速やかに避難できる準備が必要です。
※白馬村のハザードマップ
身近な人にシェアする
渓流保護ネットワークのような、環境保護活動に賛同したら、身近な人たちにシェアしてみましょう。
考えを強要するのではなく、こういった問題点があるということを知ってもらうだけでも価値があります。
さらに詳しく知りたい人は
「渓流保護ネットワーク・砂防を考える」のWEBサイトをご覧ください。
砂防ダムの基礎知識から、プロジェクトの概要まで様々なことがまとめられています。
また、買い物のついでに、パタゴニア白馬のスタッフに話を聞いてみるのもオススメですよ。